桐たんす屋の社長ブログ これはなんていう布かわかりますか?
以前大変お世話になったお客様からのご依頼でこの布を新しく作って欲しいとのご依頼がございました。
この布は綿で出来ていますが、なんという呼び方をするものか、お分かりになりますか?
年配の方ならおわかりになるのですが、年齢の若い方は呼び方すら、ほとんど知らないと思います。
答えは、「鏡掛け」と言うのです。正式には、紋入り鏡掛けと言います。
鏡台というお道具の鏡の部分にかけるカバーの事でございます。30年前までは私どものお客様は桐箪笥のゆたんに合わせてこのような紋入りの鏡掛けをお作りさせていただきました。
とてもいいお道具を作らせていただいて、嫁がれました。今この紋入り鏡掛けを見せていただけて、懐かしくて感動しました。
婚礼の鏡台の鏡の部分のかたちに合うように、型をとってそれぞれ縫製をさせていただいたのです。
一面鏡の鏡台の事をドレッサーとも呼びました。そのドレッサーの鏡にかけるカバーです。
最近では鏡台を持ってお嫁に行かれる方も少なくなって、鏡掛けをお作りするお客様がほとんどいなくなりました。
今回のようにもう一度、同じ鏡掛けを作って欲しいというお客様に私どもの伝統が支えられているのだと思います。