桐箪笥づくりを支える道具たち
今回は、桐たんすを作る際に使用する道具のお話を。
見習い時代、父親に言われた言葉があります。
「おまえが、仕事するんと違う。道具が仕事するんや!」
これは、見習いの時代に鉋で桐の木を削っているとき、自分の鉋の
手入れが行き届いていなかったがために、いくらやってもうまく削れず、
悪戦苦闘していたときに投げかけられた言葉です。
そして、鉋の台(鉋の木の部分)を調整するように言われ、言われるように
調整すると、スルスルと鉋クズが出てきて驚いたものです。
道具の調整、大切に使う事の重要性に気付いた瞬間でした。
こうして何年も何十年も、大切に使われていく道具たち、
職人たちをも魅了する一種独特な美しさがあります。
桐たんすのホゾ作りには欠かせない鑿(ノミ)です。右はほとんど新品、
左は、15年位使用。
続いて、鉋(カンナ)です。鉋は本当に奥の深い道具です。
右は私が父親から引き継いだものです。
カンナの刃をはずしてみましょう。
こうしてスリ減って行くことを職人言葉で、“ちびる”と言います。
続いて、胴付き鋸(平たく言うとのこぎり)です。
2本ののこぎりの“はば”をご覧ください。
目立て、切り替え、と呼ばれるメンテナンスを行います。
右側、父親の使用していた方は、刃の幅がちびってますね。
とまあ、まだまだご紹介したい、道具はたくさんあるんですけど、
あまりマニアックな内容になってもどうかと思いますので、
また次回と言うことで。
職人の世界には、こういう言葉があります。
「職人の腕前は、その職人の道具を見ればわかる」
この言葉に、首を横に振る職人はいないでしょう。