大阪泉州桐箪笥

大阪泉州桐箪笥とは・・・

桐タンス写真

桐の箪笥(たんす)

日本の家具を代表する桐箪笥(たんす)は、大切な衣類や書物、道具類を保存するのに、かかせない家具として今日まで受け継がれてまいりました。
かつての日本では、女の子が生まれると庭に桐の木を植えて、嫁入りの時には、その木を使って箪笥(たんす)や長持(ながもち)を作って、嫁入り道具として持たせたと言われますが、では、なぜ家具に桐の木が選ばれたのでしょうか?

その理由の一つは、桐の木の調湿・防虫効果にあります。
桐は湿気の多い時には、水分を吸い、乾燥時には水分を外に出す性質があります。また、他の木材と違い、桐の木は弱アルカリ性で、虫を寄せ付けないという特徴があります。

湿度を一定に保つのでカビも生えにくく、高温多湿の日本の環境において、調湿、防カビ、防虫効果の高い桐の木は、家具に最適な材料であると言えます。

あと、耐火性能に優れていることも理由の一つに上げられます。
「桐は身を焼いて中身を救う」と言われており、火事の時には、外側が焼け焦げてしまっても、中にまでは火が通らず、衣類が助かったということがよくあり、万一のことも考え、桐材が選ばれた訳です。

桐の箪笥(たんす)は、どんなに古くなって汚れていたり、割れて傷んでいたりしても、洗い替え(修理・再生)によって、新品同様に生まれ変わらせることができますので、桐箪笥(たんす)は一生ものだと言われるたけでなく、次の世代にも受け継げることのできる、唯一の価値のある伝統工芸家具なのです。

桐タンス写真

大阪泉州桐箪笥

中でも、大阪泉州の桐箪笥(たんす)は、厚く良質な桐の無垢材を用い、重厚で上品な雰囲気をもっているのが特徴で、組手の数が多く、今でも手組にこだわっています。
内部には透き通った光沢のある桐材を、前面には細かく木目の整った柾目板を揃え、絹糸のように上品で丁寧な仕上げと、細部にわたる職人の技から、『桐箪笥の最高峰』と言われております。

国産の良質な原木を製材した後、1~2年かけて雨風にさらし、自然乾燥とアク抜きを繰り返したものを材料として使用します。それを職人の手で、古くから伝わる組み手継ぎ技法によって丁寧に時間をかけて組み上げていくことで、そのように言われるようになりました。

そのこだわりゆえに、今では全国的に見ると、生産量では非常に少ないのですが、その分、希少価値、付加価値が高く、本物の桐箪笥(たんす)であるということが、私たちの誇りなのです。

大阪泉州桐箪笥の歴史

今から約三百年以上前の『難波鶴』という文献に、しんさいばし筋あんどうじ町に、たんす仕立て根元、金や市左衛門という職人が登場します。
この頃には、既に現在の大阪市において箪笥(たんす)が存在し、日本で最初に普及したと言われ、江戸時代後期には、その製造技術が確立され、堺を経て和泉の国に広がり、産地形成されたと言われおります。

難波鶴・和泉豪商名家図譜

大阪は地理的に日本の要の位置にあり、流通の拠点として最適な場所だったことから、当時は大変豊かな町であり、生活に必要なあらゆるものが大阪に集まりました。そのため着物や衣類をたくさん持つようになり、それを収納する為の道具として、桐の箪笥(たんす)が重宝されました。
このような需要と供給のバランスで、大阪の箪笥(たんす)作りは発展していきました。

また、江戸時代末期には、農業技術が向上し、気候に恵まれた近畿地方では、財産を蓄えることのできる農民が増えました。その農民が、自分たちの財産を子供たちに分配するために選んだ方法が、女の子には嫁入り道具を持たせて嫁に出すということでした。嫁入り道具は、嫁ぎ先での娘の立場を良くするための親の思いやりであり、実家の財力の証でもありました。
その為、競ってどこよりも良い箪笥(たんす)をこしらえるようになったのです。

こうした歴史的背景を持つ大阪泉州桐箪笥は、使いやすさや丈夫さだけではなく、材質のよさや細工の精巧さ、美しさなど、消費者の高い要求に答え続けることで、大阪泉州桐箪笥の職人たちは、高度な技術を習得することが出来ました。今日でもその技法は、伝承されており、平成元年4月11日に、経済産業大臣より伝統工芸品「大阪泉州桐箪笥」として国の認定を受けました。

初音の家具(田中家具製作所)

私ども、株式会社田中家具製作所の登録商標である「初音」の由来は江戸時代寛永16年(1639)9月20日、三代将軍家光公の長女千代姫様が、尾張藩主徳川友光公に嫁がれた時に、丹精込めてつくられた嫁入り調度品の総称であり、その主な道具には「源氏物語」初音の帖「年月で松にひかれてふる人に今日鶯(うぐいす)の初音きかせよ」の和歌の文字が幕府お抱え蒔絵師幸阿弥十代長重によって描かれています。その当時の多様な技巧を駆使した調度品は、近世大名婚礼調度品の最高峰と言われています。

初音の由来

その絢爛豪華な日本の伝統工芸技術の粋を集めた調度品を手本とし、桐箪笥(たんす)にその文化の思いをはせ、日本文化の大切さを守り受け継いでいきたいと考えて、初音の桐箪笥(たんす)として名づけることとしました。
本当に良い物は必ず次の世代へ残ってゆくものと考えて仕事をさせいただいております。

木を取り扱う職人は、その木が生きていた年齢以上は必ず使う事が出来る物をつくらなくてはならない。それが育ってきた木に対する礼儀であると先代より教えられました。   
寒い東北地方で育った桐の原木は、樹齢60~80年もするものが幾つもあります。
ですから、桐箪笥(たんす)は洗い替え(修理・再生)ができて、100年以上使えるものを作ることが求められます。

だから、手間暇を惜しまず、時間をかけて丁寧に仕上げているのです。
ご注文を聞いてから種類によっては2~6ケ月もかかりますし、原木からの期間を含めれば、作品になるまで3年から4年の歳月がかかっています。

そんなこだわりによって、初音の桐箪笥(たんす)は、たくさん量産する事ができません。
時代には合わないのかも知れませんが、そうやって、ひとつひとつ心を込めてお届けさせていただいております。

標準 特大